築40年超の和風住宅を
趣きそのままに部分リノベーション
気仙沼市の高台に40余年前に建てられたOさんのご実家。往時の佇まいが残る100坪の平屋は、ご一家の集いの場として活用されてきました。家族会議で建て替えも検討されましたが、「両親の想いや家族の思い出が詰まった家を次の世代へ継承したい」と、改修を決断されました。
担当者が電気や水道の専門業者を伴って入念な現地調査を実施したところ、丁寧な設えの古い日本家屋には良質なヒノキ材が多く使われ、傷みもほとんどありませんでした。そこで要望を踏まえて提案したのは、利用頻度の高い東側3室の断熱改修と自然素材を用いた内装リフォームです。
2024年3月、風格のある外観はそのままに、部分リノベーションが完了。タモ無垢材の床にシナベニヤの羽目板天井、珪藻土仕上げの壁と自然素材の風合いが空間をやわらかく包みます。ヒノキ材で新たに製作した建具にはワーロン紙やポリカーボネートを組み込んで、窓から射し込む光が室内全体に行き渡るよう配慮。古い建具や構造材との調和を考えながら、モダンな意匠性やアイデアを加えた施工で、Oさんご家族が望まれた豊かな空間へと生まれ変わりました。
長い間ご家族の憂鬱の種だった古い家特有の冬の寒さも、内壁に断熱材を充填し、窓を高性能サッシに取り替えたことで解決。リノベーション前はファンヒーターでもなかなか暖まらずに寒さに耐えながら過ごしていましたが、断熱改修の効果で新設のエアコン1台で室温を均一に保てるように。これからは一年を通して快適に過ごせます。
Oさんからは、「経験豊かな職人さんたちの手によって、この家に本来備わっていた魅力がより引き出されたように感じます。新築ではこの空間を再現するのは不可能だったでしょう。リノベーションを選んで正解でした」と嬉しいお言葉をいただきました。
ヒノキ材でつくられた既存の大きな玄関引き戸は、エアーカンナで塗装を剥がし、木本来の味わいが生きるクリア仕上げに。元の姿に戻したいというOさんの希望を叶え、伝統的な日本家屋の新築当時の雰囲気を再現した
DATA
データ
築年数 | 築40年超 |
---|---|
工事面積 | 92.70㎡(約28坪) |
改修範囲 | 主な外部仕上げ 建具/玄関ドア:造作・エアーカンナ補修、窓:樹脂サッシ(APW330) 主な内部仕上げ 床/タモ無垢材、壁/塗り壁、天井/シナベニヤ |